「重箱 欅と山桜の太刀盛」
日本を代表する針葉樹の檜の『柾目』と呼ばれる杢目の細かな部分を用いました。 此の檜は日本の中でも生育地が最北端。 育つ環境が良く、木の太さが均一で、真円に近く、良質な樹木が育つ環境に有ります。 檜との間に山桜を接合し、黒い線は日本刀に黒漆を浸ける「太刀盛」という技法を取り入れ、蓋の部分と重箱の側面に漆の黒い線を挽きました 。
金箔の箔押しは部分的に二重に重ねてあります。
金の色の変化が部分的に出てきます。
金箔の下の部分には、黒漆の太刀盛があり長年使い込みますと、金箔が擦れて太刀盛の黒漆が浮き上がり、変化が出てきます。
長い年月お使いになられても耐えられるように木の合わせ目にはヤトイサネと呼ばれる工法を用いております。 茶色の線は漆の淡口「あわくち」と呼ぶ漆を刷毛塗りしております。
「重箱 日光杉」
この杉の木は日光東照宮の参道のもの。
杉並木が出来てから300年以上が経過し
杉が巨大化、倒木等により伐採された木を戴きました。
この重箱は日光杉並木の根杢と杉の赤身と呼ばれる部分を用いました。根杢は年輪が根元に近く杢目が暴れるのですが、その分躍動感があり木の表情が顕著で、貴重な木です。
栃木県では気温が寒い為木の太さが真円に近く、杢目が詰んだ樹木が育ちます。
杉の木は油分が多く腐りにくい性質がある為今回はウレタン塗装で仕上げています。
「欅の重箱」
欅の木は日本の中でも栃木県を中心に杢目が一番良い木が生育しており、この欅は昭和の時代に伐採されて、その当時の40年以上前の木です。
欅の木は伐採してから、自然乾燥に10年程の期間を必要とします。
木の変化を出来るだけ狂わない様に管理をする事も大切な事です。
蓋の欅の部分は柾目で杢目が細かな部分。
蓋の部分には『杢彩』何種類もの木を組み合わせて、象嵌しています。
欅の赤身と黄色の部分、敢えて違う色味を用いることで同じ木でも違う印象になります。
同じ欅でも反りや捻じれが出る木が有りますが、柾目の木は乾燥がしてありますと、狂いが少なく重厚感があります。
重箱は日本の古くからの様々な食文化を持ち運びする事に伝承されてきました。
先日メキシコ大使館で行われたイベントでは、栃木県の郷土料理である
「しもつかれ」を振る舞う際にこの重箱が使用されました。
今回はコップとしてではなくしもつかれや爪楊枝を入れる器としての使用。
重箱の中に綺麗に収まるようサイズを考えて制作しています。
コップにも模様があり、違う木を組み合わせて色彩を変えたものや一つの木で違う色合いを持つものなど様々です。
器の深さや大きさなど自分好みの器は
オーダーメイドならでは。
溝を作ることで滑り止めにもなります。
しもつかれと重箱の下に敷いているものは大谷石の漆プレート。
栃木県宇都宮市の西北近より掘り出される大谷石(おおやいし)は「軽石凝灰岩(かるいしぎょうかいがん)と呼ばれており、明治から昭和の時代に蔵や塀などの建築物の一部として、石窯や石仏など幅広く使われてきました。
ですが大谷石は軽石故に隙間があり角が欠けやすい性質があります。
今回、大谷石に漆を含浸し高温で焼き付けをすることで大谷石の欠点である
「ミソ」と呼ばれる隙間を漆で埋めて平面を作ることができました。
「ミソ」を漆で含浸することで強度に加えて耐久性も高めることができました。
薄く挽いた石でも割れにくくなり、大谷石に漆を焼き付ける手法を繰り返しますと漆の含浸により反りが出てきますが使用用途は大幅に広がります。
高温で焼き付けることにより漆が硬化し、陶磁器のような硬さになります。
さらに顔料で色彩を加飾できる事で多目的に利用する事ができます。
熱いものを置いても良く、水に浸しても変化せず、洗剤にも強い等多種多様に利用が可能になります。
切断跡もそのままデザインとして生かせます。
お陰様でたくさんの方に反響をいただき、とちぎテレビにもしもつかれのイベントとして今回の商品が放映されました。
既にご注文をいただいており、お時間をいただきますがサイズや薄さなど
ご要望があればできる限り対応いたします。
ご興味のある方、ぜひお問い合わせください。
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